[Mantle Plume ー イザナミ、ペレの怒り] Eng
2019
 セメント、ステンレス、木、紙、麻紐、リボン、毛糸、 フェルト、アクリルガッシュ、プラスティック、言葉  写真
 映像(3:26 min)
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マントルプルーム/イザナミ、ペレの怒り

虹を巡る旅、
ある夜、空を見上げると、月から虹が下りてきた。
人間の男との結婚生活に、疲れ果てた女神ヒナは、その虹を渡り、
生まれ故郷の月へと帰り、生涯しあわせに暮らしました。
あの日見た二つの虹を想って、また同じ場所、二つの火山の国を訪れた。
吹き荒れる風と、荒れ狂う海。 ピンク色の、甘い香りの漂う芝生の絨毯。
盛り上がった岩、地球の中心、マントルから吹き上がり、
血管のように 上へ上へと押し上げ、様々な形の柱ができていく。
マントルプルーム。
火の山から吹き上がり、流れ出て、どこまでも伸びる。
行き着いた海の水で冷まされ、固まり、形づくられ、陸が変形し、 この星が、つくられていく。
沢山の国、列島を生んだイザナミは、火の神カグツチを産み、傷つき、死を迎える。
黄泉の国で、醜い姿をイザナキに見られたイザナミの悲しみ。
傷つき、痛みが激しい怒りに変わり、全てを焼き尽くした。
カウアイ島に辿りつた火山の女神ペレは、美しい王子ロヒアウと出会った。
互いに一目惚れし、恋に落ちた二人。
使いにだした妹ヒイアカに愛する人を奪われたペレ、
二人に炎を浴びせ、怒り狂い、ロヒアウを焼き殺した。
津波によってハワイ島へと渡り、カウアイ島へ行き、燃えて、海の水によって、静められ、 怒りは終息した。
プレートテクトニクス。
信じたい気持ちと、悲しかった、激しい痛みが、ごつごつとした岩肌となり、
影を差す花弁のように、無数のしわとなって美しさを刻む。
ただ、そばにいたかった。
二度ともどることのないヒナ。
イザナミ、ペレの孤高。
大地の女神たちの欲動、マントルプルーム

2019.09.08 利部志穂