[ENTRANS FIELD -耕せる民-] Eng
2009
拾ったもの,不要になったもの(雑草,植木,他)
建材,電気コード,コンクリート,洗剤,布,風,電気,水,他
6.6x5.3x2.3m
なびす画廊,東京
2009.05.11―05.23
撮影:山本糾/YAMAMOTO Tadasu
「ENTRANS FIELD -耕せる民-」
40年前に、長屋から最新のモダンな共同貸室が建てられた。
それから30年後、主人の最新の高層マンションへの引っ越しと共に、
かつてのモダンなベランダに置かれたままの、様々な容器に入れられたアロエ。
部屋の外にある、建物の一部となったそれを、動かしてみようと思った。
風を吹かせ、電気を流し、水を溜める。
泡立器を手にしてかき混ぜることで
様々な時間や空間を行き来することができるだろうか。
利部志穂
-----------------------------------------------------
「ENTRANS FIELD -耕せる民-」
私の生まれた街には、以前ゴミ置き場があった路がある。
ちょうどその前を、数年に一度上から人が落ちてくる。
部屋が縦に14戸積み重なったその上には、
みぞおち下程の高さの、手摺りがある階段の踊り場がある。
夜になると、飛行機に月、川に電車、小さな家の光と高い家の灯りが
何も視界をまたぐことなく同時にチラチラと動いているのがよく見える。
人がひとり、立っていられる高さとはどれくらいなのだろうか。
三次元から三次元をつくり、四次元を生み出すこと。
それが彫刻であると考えたとき、
制作の行為とプロセスは
世界の仕組みを見つけ出す 手がかりとなる。
地上の無限の連鎖のうちに起こった
人間という 一環は、小さな世界を規定しようとする。
その小さな世界が裏切られたとき、
何かがこぼれだす瞬間から、拡がる世界の起点をつかみたい。
左足一本分の長さのH鋼で、コンクリートと繋げられた鉄階段は
今日のマニキュアの配色と共に 私を急き立てる
2009.2
利部志穂