[目 覚める / 二人の毛布] Eng
※作家によるテキストはページ下部にあります
2010
5x8x6m
鉄,水,日光,DVD,(元カーテンレール,コート掛け,本棚,他)

【back to the drawing board】「もう一度始めから再構築する」 Group show
2010.08.06-08.28
geh8 Kunstraum und Ateliers e.V.,Dresden,GERMANY
撮影:利部志穂


「起き上がるために」


沢山の川を渉り、沢山の橋を越えて

大陸を横断した。

東京は炎天下で、いい時に行ったね。と言われる
涼しい夏の数週間。

ドレスデンというベルリンから2h程、車で離れた
少し、田舎の都市。
おそらく日本人には馴染み易い、安全でゆったりとした
住みやすそうな、といった印象の町並み。

トラムと自転車と、夜中中移動できるから
沢山、酒が呑める。

沢山の爆撃にあった、元 東ドイツ

真新しい薄オレンジ色の石の中に、真っ黒な、古い石が混ざる。
修復が丁寧に施された、教会やホール。

短い時間と、長い時間が入れ替わり、モザイク模様となった外壁。

重々しい変えられない窓枠と。一息で外れる、あの部屋の窓枠。

雨を降らせたい
じゃばじゃばとしとしと と

沢山の水を落とす

じっと、動きたくない日を、忘れられた毛布を憶う。

決意して、右腕で剥がす

寒い朝の電車の騒音を、足早に動く4本足を。

駅までの短い道のりに。続くことの無い、長い時間を願う。

起き上がる、意味はあるだろうか。
それだけの、短い時間は、有効だろうか?

横たわり、起き上がり、歩く
息を吐く、昇る、曇る、雨粒が落ちる

もっと大きく、耳を塞ぐ

意味を問うことでは、意味を成さず。

勢いよく、右腕で。

剥がす事をするために

2010.10.19 Zwei Decken
利部志穂